命盤の見方——十二宮をやさしく読み解く
約8分
初めてご自分の命盤を組んだとき、多くの方が最初に目にするのは、十二の枠に分かれた一枚の図です。枠のなかには星曜の名がびっしりと詰まっていて、どこから見ればよいのか一瞬わからず、頭がくらりとするかもしれません。けれども、慌てる必要はありません。この十二の枠は、あなたを困らせるために並んでいるのではなく、ひとりの人の一生を、十二の面に分けて収めているのです。あるものはあなた自身を、あるものは金銭を、あるものは感情を、あるものは体と心を受け持ち、それぞれに役目があって、一つの枠が一つのことを司ります。どの枠が何を受け持つかがわかれば、乱雑に見えた一枚の盤も、少しずつ、読み解ける地図へと変わってゆきます。
この十二の枠を、紫微斗数では十二宮(じゅうにきゅう)と呼びます。命盤の縁に沿って、一枠また一枠とならび、時計の文字盤のように首尾めぐって尽きることがありません。この記事では、その十二宮をひとつずつ知っていただきます。それが何を司り、あなたのどんな問いに答えてくれるのか。それらを知れば、あなたは盤を読む最初の鍵を、手にすることになります。
自分自身、きょうだい、そして縁
十二宮の並びには定まった順序があります。順に、命宮(めいきゅう)、兄弟宮(けいていきゅう)、夫妻宮(ふさいきゅう)、子女宮(しじょきゅう)、財帛宮(ざいはくきゅう)、疾厄宮(しつやくきゅう)、遷移宮(せんいきゅう)、僕役宮(ぼくえききゅう・今は交友宮とも)、官禄宮(かんろくきゅう・事業宮とも)、田宅宮(でんたくきゅう)、福徳宮(ふくとくきゅう)、父母宮(ふぼきゅう)です。覚えやすいよう、いくつかの組に分けて見てゆきましょう。まずは、あなたに最も身近なこの一組から。
命宮は、盤全体の起点であり、あなたという人そのものです。あなたの性情、生まれ持った資質、人との接し方の基本の姿は、すべてここから見てゆきます。人の顔立ちであり、下地の色でもあって、あとの十一の宮は、ある意味みなこれをめぐって回っています。命宮の要(かなめ)については後段であらためて申しますが、ここではまず、「私はどのような人間か」と問いたいなら、まず命宮を見る、と覚えておいてください。
兄弟宮は、その名のとおり、きょうだいを司ります。兄弟姉妹との縁の深さ、たがいに支えあう有りようです。けれども意味はそれだけにとどまらず、あなたと肩をならべて立つ、地位の近い人々との行き来にも及びます。組む相手、親しい同輩などです。きょうだいと気が合うか、たがいに助けあえるかを知りたいなら、まずここから見てゆきます。
夫妻宮は、多くの方が最も気にかける一宮で、恋愛と結婚を司ります。あなたはどのような人に惹かれるのか、伴侶はおおよそどのような姿か、ふたりの間は甘いか、ほろ苦いか。それは、あなたが親密な関係のなかでとる姿とめぐりあわせを語るのであって、ひとつの結婚の成否や損得だけを論じるものではありません。恋を問い、伴侶を見たいなら、行くべきはこの宮です。
子女宮は、子との縁と、親子の間のやりとりを司ります。子の多い少ない、その資質、そしてともに過ごす姿です。伝統的には、後輩や教え子、さらにはあなたが手がけ、心をこめて育てる事柄にも及びます。孕(はぐく)み、育てることを要するものは、みなこの宮とかかわっています。
財を求め、体をいたわり、外へ出る
財帛宮は、金銭を司ります。ただし、それが答えるのは「あなたにいくらお金があるか」というほど単純なことではなく、あなたの稼ぎ方と、お金の使い方への構えです。お金はどこから来るのか、何を頼りに入ってくるのか、金銭にどのような考えを抱いているのか、倹(つづ)まやかか、大らかに使うか。それらがみな、この一宮のうちにあります。語られるのは、あなたと財との付きあいの姿であって、動かしがたい一つの数字ではありません。
疾厄宮は、体と健康を司ります。体質の強弱、どこに不調が出やすいか、養生に気をつけるべき箇所です。生まれ持った元気や、感情の起伏にも及びます。この宮は、あなたを脅かすためにあるのではなく、やさしく気づかせてくれるのです。体は人生を歩む元手であり、弱いところがあるなら、その分だけいたわってやりましょう、と。
遷移宮は、外でのめぐりあわせを司ります。家の門を出たあと、よその土地で、人の群れのなかでの運と姿です。外出が順調か、助けてくれる人が多いか、遠くへ出て身を立てるのに向くか、みなここに見ます。命宮とはちょうど盤をはさんで向かいあい、一方は家にあるときのあなたの本色を、一方は外にあるときのめぐりあわせを語ります。両者を照らしあわせると、いっそう味わい深いものです。
友、仕事、そして家
僕役宮は、今日では交友宮と呼ばれることが多く、あなたと友人、同僚、部下との行き来を司ります。交わりが広いか、力になってくれるか、助けとなるか、それとも消耗となるか。時代は移り、かつての主従の別は、今ではむしろ、対等な人脈と協力へと姿を変えました。自分の人の縁が厚いか薄いかを知りたいなら、この宮を見ます。
官禄宮は、事業宮とも呼ばれ、あなたの仕事と功業を司ります。どのような道を歩むのが向くか、職場での働きぶり、事業の器と、その起き伏しです。それは一つの勤めの給料だけを指すのではなく、あなたがこの一生で功をなす舞台そのものです。仕事を問い、この先の道行きを見たいなら、行くべきはこの宮です。
田宅宮は、家と不動産を司ります。住まいの環境、家を持つ縁、そして家庭の安らぎと拠りどころです。伝統的には、その人の財の蔵(くら)にも通じ、守れるか、蓄えられるかを見る場でもあります。自分と家、そして一つの住まいとの縁を知りたいなら、この宮から見てゆきます。
心のありようと、親や目上
福徳宮は、あなたの心のありようと福分を司ります。精神が安らいでいるか、思いをうまく手放せるか、静かな福を味わえるか。それは、人の内なる質を語るのです。同じめぐりあわせでも、愁いに沈む人もあれば、悠々としている人もある。その違いは、しばしばこの福徳宮のうちに潜んでいます。ここは、盤を見るときに見落とされがちで、それでいてきわめて大切な一宮です。
父母宮は、あなたと父母、目上との縁と付きあいを司ります。彼らのいたわり、たがいの親しさや隔たりです。師や上司、さらには公の役所とあなたとの関係にも及びます。目上との縁が深いか浅いかを知りたいなら、この宮を見ます。これで十二宮をひととおり知っていただきました。人の一生が、この一巡りの枠のなかに、なんと過不足なく収められていることか——そうお気づきになるはずです。
命宮が要となる
十二宮を知り終えたら、命宮についてもう一度、あらためて申しておかねばなりません。盤全体のなかで、命宮は盤を定める核であり、すべての原点です。盤を組むとき、まずあなたの生まれ時によって命宮がどの枠に落ちるかを定め、残る十一宮はそれに順って一つずつ開いてゆきます。命宮が一たび誤れば、盤じゅうがことごとく狂う。ですから、それは要(かなめ)であり、髪一筋を引けば全身が動く、と申すのです。
命宮に盛られているのは、その人の本命の器——先天の性情、才、そして一生の基調です。どんな一事を見るにも、命宮を抜きにはできません。財を問うなら、どのような人が財を求めているのかを見、恋を問うなら、どのような人が相手と向きあっているのかを見る。それは一齣(ひとこま)の芝居の主役のようなもので、他の各宮は、その主役が歩んでゆく場面です。主役が誰であるかによって、場面のなかの喜びも悲しみも、その重みが変わってくるのです。
もう一つ、「身宮(しんきゅう)」というものがあり、初めての方をよく戸惑わせます。命宮が先天の本色だとすれば、身宮はむしろ後天に力を注ぐところ、人生の後半に次第に現れてくる傾きです。その人がこの生涯、とりわけ心力を傾けて営む場所を指します。身宮は、いずれかの宮と同じ枠に重なって落ちます。初学のうちは、こういうものがあると知っておくだけでよく、くわしく究めるのは、のちのちで遅くはありません。
三方四正——一宮は一枠だけでは見ない
各宮の役目を知ったなら、もう一層、大切な手つきがあります。一つの宮を見るとき、その一枠だけを見つめていてはならない、ということです。紫微斗数では、どの宮も孤立してはおらず、いくつかの宮と引きあい、たがいに照らしあいます。それらを合わせて「三方四正(さんぼうしせい)」と呼びます。
どういうことでしょうか。あなたが今見ているその宮を本宮とすれば、ちょうど真向かいの枠を「対宮(たいきゅう)」と呼び、二つが相まみえて、その力は最も直に及びます。さらに、本宮と三角に呼応する二つの宮を加え、あわせて三合方(さんごうほう)と申します。本宮と対宮、そして左右二つの三合の宮、これらが一斉に動く——これが三方四正の意味です。一事を見るには、この幾つかの枠をともに広げて見なければ、一部をもって全体を決めてしまうことになります。
一例を挙げましょう。恋を見たいなら、当然まず夫妻宮を見ます。けれども夫妻宮の向かいは官禄宮であり、三合方は遷移宮と福徳宮を照らしてきます。これは、こう告げているのです。人の恋は、決して戸を閉ざして独りで成り立つものではない、と。それはあなたの仕事や心のありようと結ばれ(官禄宮)、外でのめぐりあわせと連なり(遷移宮)、さらには内なる福分や考えと通じあっています(福徳宮)。仕事が忙しいか、外でどのような人に出あうか、自分の心が安らいでいるか——それらがめぐって、この一段の恋を左右するのです。ですから夫妻宮を見るには、これらの宮をあわせて見る。その道理は、ここにあります。
むすび——宮は問いの住所
十二宮を知れば、あなたは盤を読む地図を手にしたことになります。宮とは、言ってしまえば「問いの住所」です。恋を問うなら、住所は夫妻宮。仕事を問うなら、住所は官禄宮。金銭を問うなら、住所は財帛宮。体を問うなら、住所は疾厄宮。正しい住所を見つけて初めて、どの枠を見にゆけばよいかがわかります。
ただし、忘れてはならないことがあります。宮はあくまでその扉であって、扉の奥のほんとうの中身は、そこに住まう星曜が誰で、どのような性情かを見、さらに四化のめぐりと引きあいを参じて、初めてわかります。宮は住所、星は中身、四化はこの一年、この一歩の動き——星と宮と四化、この三つを合わせ見て、一枚の命盤はようやく生き生きと読まれます。宮を知ることは、自分自身を読み解く最初の一歩です。ここを踏みしめれば、この先の道は、おのずと広くなってゆきます。
もしあなたも図をたよりに歩んでみたいなら、まずはご自分の命盤を組み、この十二宮をひとつずつ眺めてみてください。どうしても腑に落ちない一宮があれば、無料でひとつお尋ねいただけます。この地図を、ほんとうにご自身のものとしてお使いください。