命盤を自分の手で組んでみる——十二宮を定め、十四主星を安ずる
約12分
今日では、生年月日時を入れさえすれば、命盤は一瞬で組み上がります。それならば、なぜ、わざわざ自分の手で組むことを学ぶのでしょうか。
盤が読めることと、盤が組めることとは、別のことだからです。ひとたびご自分の手で推してみれば、命宮(めいきゅう)がなぜあの枠に落ちるのか、紫微(しび)がなぜあの宮に坐すのかが、わかるようになります。一見ふしぎに見えるそれらの座は、じつはみな、あなたの生年月日時から一歩ずつ算じ出されたもので、環(わ)は環につらなり、恣意(しい)なところは一つもありません。この一層がわかると、あらためて自分の命盤を見るときの感じ方が、まるで変わります。それはもう、誰かに手渡された一枚の図ではなく、あなた自身が検算できる、一つの推論なのです。
この記事では、その最も核となる一段を分けてお話しします。十二宮をどう定め、十四主星をどう安(あん)ずるか。全篇を、一つの例が貫きます——旧暦一九九〇年五月二十三日、巳(み)の刻、男性。紙と筆をご用意のうえ、ごいっしょに算じてみてください。
始める前に——三つのものを揃える
一つめは、旧暦の生年月日です。紫微斗数が用いるのは旧暦であって、新暦ではありません。しかも年・月・日がすべて揃っていなければなりません。お手もとに新暦しかないときは、まず万年暦で換算してください。閏月(うるうづき)に当たる場合はとりわけ注意が要り、流派によって扱いが少しずつ異なります。
二つめは、生まれた時辰(じしん)です。一日は十二の時辰、二時間で一つ。子(ね)の刻は23時から翌1時まで、丑(うし)の刻は1時から3時まで、以下これに倣います。時辰は盤全体の枢(かなめ)で、一つずれれば命宮が一枠ずれ、盤はまるごと変わってしまいます。命を問う方が、まず何よりはっきりさせておくべきなのが生まれた時刻だと申すのは、このためです。
三つめは、白紙の十二宮の盤です。四かける四の枡(ます)を描き、中央の四枡は基本の事項を書き入れるために空けておきます。外まわりの十二枡が、そのまま十二宮の座になります。
第一歩——動かない下地の盤を知る
初めのうちは、命盤が人によって変わるものだと思い違いをなさる方が多くあります。じつは、下地の盤は固定されています。外まわりの十二枡には、子から亥までの十二の地支(ちし)が一つずつ収まり、その順序は永久に変わらず、だれの盤でも同じです。
座の並びはこうです。下の段は左から右へ寅・丑・子・亥。左の列は下から上へ寅・卯・辰・巳。上の段は左から右へ巳・午・未・申。右の列は上から下へ申・酉・戌・亥。四隅はそれぞれ二つの辺が分けあい、十二の地支は時計まわりに一巡して、首と尾がつながります。一度描いてしまえば、もう忘れません。
変わるのは地支ではなく、「どの枠が命宮か」です。同じ下地の盤でも、あなたの命宮は丑に落ち、別の方の命宮は酉に落ちるかもしれません。すると十二の宮名がそれにつれて移り、星曜の落ちる座も動きます。すべての変化は、命宮を定めるところから始まるのです。
第二歩——命宮と身宮を定める
命宮を定める口訣はこうです。寅の宮から正月を起こし、生まれ月まで順に数える。次に、その生まれ月のある宮から子の刻を起こし、生まれた時辰まで逆に数える。
例で見てまいりましょう。生まれ月は旧暦の五月です。寅が正月、卯が二月、辰が三月、巳が四月、午が五月——生まれ月は午に落ちます。次に、午の宮から子の刻を起こして、逆に数えます。午が子の刻、巳が丑の刻、辰が寅の刻、卯が卯の刻、寅が辰の刻、丑が巳の刻。生まれた時辰は巳の刻ですから、命宮は丑にあります。
身宮(しんきゅう)の求め方は、ほとんど同じで、違うのは一字だけです。同じく生まれ月の宮から子の刻を起こしますが、こちらは生まれた時辰まで順に数えます。午が子の刻、未が丑の刻、申が寅の刻、酉が卯の刻、戌が辰の刻、亥が巳の刻——身宮は亥にあります。命宮は生まれ持った下地の色、身宮は後天に力を注ぐところ。一つは逆、一つは順で、同じ宮に重なることもあれば、離れて立つこともあります。
この対比さえ覚えておけば、まず取り違えることはありません。命宮は逆に数え、身宮は順に数える。
第三歩——十二宮を安ずる
命宮さえ定まれば、残る十一の宮は、おのずと定まります。命宮から起こし、逆行——地支の順とは逆、盤のうえでは反時計まわり——に安じてゆきます。順序は、命宮、兄弟宮、夫妻宮、子女宮、財帛宮、疾厄宮、遷移宮、僕役宮(交友宮とも申します)、官禄宮、田宅宮、福徳宮、父母宮です。
例では命宮が丑にありますから、逆行して安じます。丑が命宮、子が兄弟宮、亥が夫妻宮、戌が子女宮、酉が財帛宮、申が疾厄宮、未が遷移宮、午が僕役宮、巳が官禄宮、辰が田宅宮、卯が福徳宮、寅が父母宮。十二の枠がちょうど埋まり、一つの過不足もありません。
ここまでで、この盤には骨格ができました。恋を問いたければ亥を見ればよく、事業を問いたければ巳を見ればよい。あとは、星曜を招き入れるだけです。
第四歩——五行局を起こす
紫微を安ずる前に、もう一つ関門があります。五行局(ごぎょうきょく)です。これが、紫微星をどこから起算するかを決めます。盤全体のなかで最も算じ違えやすい一歩ですから、ゆっくりまいりましょう。
五行局が見るのは、命宮のあるその枠の干支(かんし)です。地支はもうわかっています(例では丑)。足りないのは天干で、天干は「五虎遁(ごことん)」によって求めます。口訣に申します。甲・己の年は丙をもって首(はじめ)とし、乙・庚の年は戊をもって頭とし、丙・辛は必ず庚より起こし、丁・壬は壬の位より順に流れ、戊・癸の年は甲寅に求む、と。つまり、甲・己の年は寅の宮が丙寅から起こり、乙・庚の年は戊寅、丙・辛の年は庚寅、丁・壬の年は壬寅、戊・癸の年は甲寅から起こる。生まれ年の天干が寅宮の天干を決め、そこから順に排(なら)べてゆく、ということです。
例は庚午(こうご)の年の生まれで、年干は庚です。口訣の「乙・庚の年は戊をもって頭とす」により、寅の宮は戊寅から起こり、順に排べてゆきます。寅が戊、卯が己、辰が庚、巳が辛、午が壬、未が癸、申が甲、酉が乙、戌が丙、亥が丁、子が戊、丑が己。命宮は丑にありますから、命宮の干支は己丑(きちゅう)です。
干支が得られたら、次は納音(なっちん)の五行を調べます。己丑の納音は霹靂火(へきれきか)、五行では火に属し、火六局に当たります。五つの局には、それぞれの数があります。水二局、木三局、金四局、土五局、火六局。この数こそが、次の一歩で用いる除数です。
第五歩——紫微星を安ずる
紫微は盤全体の帝星であり、残る十三の主星は、みなこれを基準として定まります。ですから、この一歩さえ正しく安ずれば、あとは滞りなく運びます。
規則はこうです。局の数で、生まれた日を割ります。割り切れれば、その商が、寅の宮から順に数える宮の数になります(寅を第一の宮と数えます)。割り切れなければ、割り切れるようになる最小の数を補います——この補った数を、借数(しゃくすう)と申します。商は先ほどと同じく寅の宮から順に数え、数え着いたら、こんどは借数の奇偶を見ます。借数が偶数であれば、その宮からさらに借数の数だけ順行し、借数が奇数であれば、同じ数だけ逆行します。
例は火六局、生まれた日は二十三日です。二十三は六で割り切れません。一を補って二十四とすれば、二十四を六で割って商は四、借数は一です。まず寅の宮から順に四つ数えます。寅が一、卯が二、辰が三、巳が四——巳に着きます。借数の一は奇数ですから、一宮だけ逆行します。巳から辰へと退きます。紫微は辰にあります。
この奇偶による進退は、最も逆に覚えてしまいやすいところです。算じ終えて、どうも腑に落ちないと感じたら、まず二つのことを確かめてください。局の数を取り違えていないか。そして借数とは「割り切れるようにするために補う数」であって、余りではない、ということです。
第六歩——天府を安じ、十四主星が座に着く
紫微が定まれば、天府(てんぷ)もおのずと定まります。天府と紫微は、寅・申の二宮を結ぶ線を軸として、左右に対称です。紫微が寅にあれば天府も寅、紫微が申にあれば天府も申。それ以外の宮では、二星は軸をはさんで両側に分かれ、軸から等しい隔たりに位置します。例では紫微が辰にありますから、軸の向こうへ移して、天府は子にあります。
ここからは、二つの系に分けて安じます。紫微系は紫微から起こし、逆行して五星を安じます。一宮退けば天機(てんき)、三宮退けば太陽、四宮退けば武曲(ぶきょく)、五宮退けば天同(てんどう)、八宮退けば廉貞(れんてい)です(二宮・六宮・七宮の三つは空けておき、星を安じません)。
天府系は天府から起こし、順行して七星を安じます。一宮進めば太陰、二宮進めば貪狼(どんろう)、三宮進めば巨門(きょもん)、四宮進めば天相(てんそう)、五宮進めば天梁(てんりょう)、六宮進めば七殺(しちさつ)、十宮進めば破軍(はぐん)です(七宮・八宮・九宮の三つは空けておきます)。
例を算じ終えましょう。紫微が辰にあるので、天機は卯、太陽は丑、武曲は子、天同は亥、廉貞は申。天府が子にあるので、太陰は丑、貪狼は寅、巨門は卯、天相は辰、天梁は巳、七殺は午、破軍は戌。十四の主星が、これですべて座に着きました。
組み終えたら——検算と、よくある誤り
一つめの検算です。主星は多くも少なくもなく、ちょうど十四星で、十二の宮に分かれて収まっていなければなりません。二つの主星が同じ枠に坐している宮もあれば(例では辰宮の紫微・天相、丑宮の太陽・太陰です)、一つも坐していない枠もあることに、お気づきになるでしょう。これを空宮(くうきゅう)と呼びます。それは必ずそうなる結果であって、組み違えでもなければ、まして命が悪いということでもありません。十四の星を十二の枠に分ければ、もともと配られない枠が出てくるのです。これについては別に一篇を設けてお話ししますので、ここでは、空宮を見ても慌てる必要はない、とだけ心得ておいてください。
二つめの検算です。紫微系と天府系、この二つの星の連なりは、それぞれの間隔が定まっています。もし二つの星の隔たりが口訣と合わないようなら、たいていは、紫微のあの一歩における奇偶の進退を、逆にしてしまっています。
よくある誤りは、多い順に三つあります。旧暦ではなく新暦を用いてしまうこと。時辰を覚え違える、あるいは新暦の時刻をそのまま当てはめてしまうこと。そして五行局を取り違えること(とりわけ五虎遁で天干を排べるときに、枡を数え違えることです)。この三つのどこか一つでもずれれば、盤はまるごと狂ってしまいます。ですから、一歩ごとに立ち止まり、一度は照らしあわせておく値打ちがあるのです。
輔星(ほせい)や雑曜(ざつよう)、四化(しか)、そして大限・流年については、さらに先の学びになります。けれども骨格さえ立っていれば、この先どの層を重ねてゆくときも、それが何のうえに載っているのかが、あなたにはわかっています。
手もとのこの一枚は、あなた自身が算じ出したもの
一組の生年月日時から、十二宮へ、そして十四主星へ。その途中に、当て推量に頼った一歩は、一つもありません。ここが、紫微斗数が多くの占いの術と最も異なるところです。それは、その場かぎりに引き当てられた象(しょう)ではなく、繰り返し検算でき、だれが算じても同じになるはずの、一つの推論なのです。ご自分の手で一度歩いてみれば、この「算じ出せる」という手ごたえが、いったいどこから来るのかが、おのずとわかることでしょう。
組み終えたら、同じ生年月日時で、当サイトの無料の作盤を一度お試しになってみてください。二つを引き比べて、どこもかしこも合っていれば、この手わざは、ほんとうにあなたの手に渡ったということです。もし食い違いがあれば、どの一歩がずれたのかを、あらためて探してみてください。そのときの「なるほど」のひとときは、口訣を十度読むにまさります。